はじめての転職を考えている看護師の方に、看護師の勤務先、働き方に分けて、看護師求人の特徴や傾向、仕事内容を解説していきます。
- 看護師の勤務先には、どんな種類があるの?
- お給料が高くなる、看護師の勤務先はどこ?
- 勤務時間が短くて、精神的に楽な看護師の働き方、仕事内容が知りたい!
- 子育てしながら看護師の仕事を続けるのに、向いている勤務先や働き方はあるの?
新卒で病院に就職して転職経験がない方は、他の勤務先の仕事内容や働き方は気になりますよね。
この記事を読めば、どこで、どのように働くと、勤務時間が短くなるのか、福利厚生が充実するのか、給料・年収が上がるのか、といったことがわかり、転職で勤務先や働き方を決める際、選択や判断がしやすくなるでしょう。
目次
【看護師求人の特徴1】勤務先(施設形態)別の看護師求人の特徴、傾向
看護師の勤務先の種類は次の通り幅広く、この他にも列挙していない助産所、保健所、学校など求人数が少ない施設もあります。
- 病院
- クリニック(診療所)
- 訪問看護ステーション
- 介護施設
- 健診センター
- 企業
- 保育施設
ここでは、求人数、勤務時間、給料・年収、福利厚生の4点から、勤務先(施設形態)ごとに看護師求人の特徴や傾向を確認していきます。
看護師の求人数
先ず、転職のしやすさに大きく関係してくる、看護師の求人数からお話しします。
転職市場で求人数が多いのが、病院、クリニック(診療所)、訪問看護ステーション、介護施設で、これらは総じて転職しやすい職場と言えるでしょう。
最近は特に、訪問看護ステーション、介護施設の求人が増えています。一方、健診センター、企業、保育施設の求人はあまり多くありません。
職種・資格別の求人数も補足します。看護師、准看護師の求人が多く、助産師、保健師の求人は多くありません。特に保健師は、求人の数が少ない傾向にあります。
厚生労働省は2019年10月21日、看護職員需給分科会中間とりまとめ案の中で、看護師、准看護師、助産師、保健師といった看護職員が、2025年に約6万〜27万人不足する推計を発表しています(参考:厚生労働省「看護職員需給分科会」)。
中でも、訪問看護ステーション、介護施設の看護職員確保は課題となっています。今後も訪問看護ステーション、介護施設の求人は増加し、転職しやすい状況が続くことでしょう。
看護師の勤務時間
残業時間を含む勤務時間で見ると、クリニック(診療所)、健診センターは勤務時間が短く、病院は勤務時間が長い傾向があります。病院の中でも、特に救急外来(ER)、集中治療室(ICU)は、勤務時間は長く、夜勤が多い職場です。
訪問看護ステーション、介護施設、企業は、施設や組織によって勤務時間に違いがあり、一部勤務時間が少ない施設や組織があります。保育施設は早番、遅番があれば、勤務時間は長くなります。
勤務時間という点で、眼科のクリニックは穴場と言えるでしょう。時間的な制約が少ないということで眼科医になる医師もいるくらいで、さらには健診センターとともに重篤な患者さんが少なく、肉体的にも精神的にも楽ということで人気があります。他に皮膚科のクリニックも、肉体的にも精神的にも負担が少ない勤務先です。
勤務形態で見ると、病院、一部の訪問看護ステーションと介護施設は、2交代・3交代などの夜勤あり、オンコールありの仕事が中心になります。その他のクリニック(診療所)、訪問看護ステーション、介護施設、健診センター、企業、保育施設は日勤のみの仕事がほとんどです。
看護師の給料・年収
給料・年収が高い傾向にあるのは、病床数の多い病院、美容クリニック、訪問看護ステーション、一部介護施設、医薬品業界の企業です。
介護施設と企業は、施設や組織によって給料・年収に違いがあるため、転職活動をすすめるにあたって情報収集が大切になってきます。
その他の施設の給料・年収は低いという訳ではなく、最近の看護師不足を背景に列挙した医療機関や施設の給与が上昇しているのものとご理解ください。他の職業と比べると、看護師の給料・年収は高い傾向にあります。
なお、厚生労働省が2021年3月31日に公表した、「令和2年賃金構造基本統計調査」によれば、看護師、准看護師の年収を勤務先の規模別に見ると、看護師、准看護師ともに、職員数が多い勤務先ほど年収が高くなっていることがわかります。
職員数が「10〜99人」と「1,000人以上」の勤務先の年収を比べると、看護師は約65万円、准看護師は約41万円の差があり、30年働いた時の単純計算では、看護師は約1,950万円、准看護師は約1,230万円の開きが出てきます(参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)。
勤務先の職員数 | 看護師の年収 | 准看護師の年収 |
---|---|---|
10〜99人 | 456万円 | 401万円 |
100〜999人 | 480万円 | 411万円 |
1,000人以上 | 521万円 | 442万円 |
ちなみに、一般病床100床あたりの職員数は200人前後になりますから、職員数が1,000人以上になる医療機関とは、病床数が500以上ある大病院クラスと思っていただければ間違いないでしょう。
給料・年収は、地域別に違いがあるので補足します。
関東地方と関西地方の医療機関や施設の看護師求人は、給料・年収が高い傾向があります。給料・年収アップを希望し勤務地にこだわらない方は、寮や家賃補助などの福利厚生が充実する、関東地方や関西地方の規模の大きい病院への転職も検討する価値はあるでしょう。
看護師の福利厚生
福利厚生の面が充実しているのは、病院です。夜勤があり職員数も多いため、寮や住宅手当はもちろんのこと、育児や介護の支援、スキルアップやキャリアアップの支援を含む福利厚生では、病院が圧倒的に充実しています。
育児や介護の支援では、短時間勤務制度や休職制度、夜勤を減らすなどの支援とともに、子育て中の看護師・シングルマザーの看護師向けに、24時間対応の院内保育所を設け、さらには学童保育に対応する病院もあります。
スキルアップやキャリアアップの支援では、研修や資格取得の支援とともに、休職制度を設けている病院もあります。
なお、一部の企業や訪問看護ステーション、介護施設でも、福利厚生が充実しているところがあります。福利厚生は組織や施設によって充実度が変わってきますので、重視する方は積極的に情報収集をすすめてください。
職種・資格別の看護師求人の特徴も補足します。看護師、准看護師の求人が多く、助産師、保健師の求人は多くありません。
給料・年収が高い順からお伝えすると、助産師、看護師、保健師、准看護師になります。看護師と准看護師は求人数が多いので、勤務する医療機関や施設によって給料・年収に違いが出てくるので、転職の際には情報収集に力を入れましょう。
勤務先ごとに求人数、勤務時間、給料・年収、福利厚生の特徴や傾向をご紹介しましたが、実際に転職活動する際には看護師転職サイトやハローワーク(公共職業安定所)、ナースセンター(看護協会)などを利用して、正確な情報を集めるようにしてください。
当サイトがおすすめする看護師転職サイトについて詳しくは、次の記事をご覧ください。
ハローワーク、ナースセンターのサービスについては、次の記事でご紹介しています。
【看護師求人の特徴2】働き方(雇用形態)別の看護師求人の特徴、仕事内容
看護師の転職後の働き方は、常勤と非常勤に大きく分かれます。
- 常勤看護師の雇用形態
-
- 正社員(正職員)
- 契約社員
- 短時間正社員(正職員)
- 非常勤看護師の雇用形態
-
- パート(アルバイト)
- 派遣
- 紹介予定派遣
ここでは、常勤と非常勤の働き方に分けて、看護師求人の特徴、仕事内容を確認していきます。
常勤の看護師求人の特徴、仕事内容
常勤看護師の主な雇用形態は、正社員(正職員)、契約社員になります。先ず簡単に、常勤の看護師求人の特徴、仕事内容をご紹介します。
- 常勤の看護師求人数は、非常勤に比べて多い
- 常勤の看護師の勤務時間は、非常勤に比べて長い
- 常勤の看護師の給料・年収は、非常勤に比べて高い
- 常勤の看護師の福利厚生は、非常勤に比べて充実している
常勤と非常勤の看護師求人を比べると、圧倒的に常勤の求人が多く、ほとんどが正社員(正職員)です。待遇、福利厚生の面で見好条件の求人も、常勤看護師の方が充実しています。
正社員(正職員)と契約社員で仕事内容が違う医療期間や施設もありますが、同じ仕事をしている医療期間や施設が多い傾向にあります。
正社員(正職員)・契約社員と、パート(アルバイト)・派遣の仕事内容を比べると、一般的に正社員(正職員)・契約社員の仕事内容は責任が重く、ルーティンワークが少なくなります。パート(アルバイト)・派遣に比べて、残業することも多く勤務時間は長くなるでしょう。
契約社員の働き方について補足します。
これまで正社員(正職員)は無期雇用、契約社員は有期雇用と切り分けられていたものが、最近の法改正で同じ医療機関や介護施設で5年間働いた契約社員は、希望すれば有期雇用から無期雇用に転換できることになりました(参考:厚生労働省「有期契約労働者の無期転換サイト」)。
ただし、契約期間が無期になるだけで、無期雇用=正社員ではない、組織や施設もあります。その場合、正社員(正職員)に比べて給与や賞与、昇給、退職金の面で不利なところが多いので、長く働きたいという気持ちがある方は転職の際、正社員(正職員)の求人を選ぶべきでしょう。
その他には働き方の多様化を背景に、勤務する時間や日数を限定する短時間正社員(正職員)という雇用形態の求人も出てきています。まだ少数ですが、今後増加が予想される常勤看護師の働き方です。
短時間正社員(正職員)は、フルタイム勤務ではない正社員(正職員)です。待遇や福利厚生は、フルタイム勤務の正社員(正職員)と変わりません。育児や介護、その他の事情で長時間働けない看護師の方、定年後も熟練した看護技術を活かして働きたいプラチナナースの方、勤務時間が気になって復職できない潜在看護師の方などが、看護の現場で活躍しやすくなる働き方と言えます。
非常勤の看護師求人の特徴、仕事内容
非常勤看護師の雇用形態は、パート(アルバイト)、派遣になります。簡単に、非常勤の看護師求人の特徴、仕事内容をご紹介します。
- 非常勤の看護師求人数は、常勤に比べて少ない
- 非常勤の看護師の勤務時間は、常勤に比べて短い
- 非常勤の看護師の給料・年収は、常勤に比べて低い
- 非常勤の看護師の福利厚生は、常勤に比べて充実していない
非常勤の働き方は常勤に比べて、給与、昇給、昇進、福利厚生は不利で、賞与や退職金はないケースが多く、契約期間が決まっていたりします。
一方、非常勤の仕事内容は総じて責任が軽く、ルーティンワークが多くなります。
パート(アルバイト)、派遣という働き方は、時間や曜日、期間などの面で自由度が高いので、次のような方にぴったりの働き方と言えるでしょう。
- 扶養内で働きたい方
- プライベートの時間や計画を優先したい方
- 育児や介護などで働く時間や曜日に制約がある方
- プレッシャーが少なくそこそこの収入になる仕事をお探しの方
パート(アルバイト)と派遣の時給を比べると、派遣の方が高い傾向があります。
ここからは、少し複雑な派遣の働き方を中心に説明します。
派遣はパート(アルバイト)と違って、看護師は医療機関や施設といった勤務先(派遣先)と雇用契約を結ぶのではなく、人材派遣会社と雇用契約を結びます。人材派遣会社は派遣元となって看護師を派遣し、看護師は派遣先で仕事をします。
派遣の中には、正社員(正職員)になることを前提とした紹介予定派遣という働き方もあり、勤務時間は常勤と同様になるケースもあります。
紹介予定派遣では近い将来、派遣先と正社員(正職員)として直接雇用契約を結ぶことを前提に、一定期間(最長6ヶ月)派遣されることになります。看護師は初めに人材派遣会社と雇用契約を結び、一定期間を経て看護師、派遣先、派遣元(人材派遣会社)が合意すると、看護師は派遣先と雇用契約を結び転職(入職)します。
看護師の派遣求人には大きな特徴があります。看護師(准看護師、助産師、保健師含む)の派遣先は法律によって制限され、病院、クリニック(診療所)、助産所、介護老人保健施設(老健)といった医療機関に分類される施設には、一部の例外を除き看護師は派遣できません。
一部の例外とは紹介予定派遣や、産前産後休業・育児休業・介護休業の代替要員です(参考:厚生労働省「労働者派遣事業を行うことができない業務は・・・」)。
- 看護師の派遣が可能となる主なケース
-
- 紹介予定派遣をする場合
- 当該業務が産前産後休業、育児休業、介護休業を取得した労働者の業務である場合
また、2022年2月28日まで、新型コロナウイルスのワクチン接種会場に限り、看護師の派遣が認められています。
医療機関ではない介護施設や保育施設などへの看護師の人材派遣については、法律による制限はありません。
あとがき:働き方と勤務先2つの分類でみる看護師求人の種類別特徴【給料、勤務時間、仕事内容の違い】
この記事では、「勤務先(施設形態)別の看護師求人の特徴、傾向」「働き方(雇用形態)別の看護師求人の特徴、仕事内容」の2つのポイントから、看護師求人の特徴をご紹介しました。
転職する際はぜひ、この記事の内容を思い出してください。
最後にこの記事と同じ、看護師の転職ノウハウ・知識に関する記事をご紹介します。
良いお仕事が見つかりますよう、お祈りいたします!