保育士転職サイトの仕組みを、保育士転職サイトをはじめて利用する方向けに解説します。
- 保育士転職サイトの転職支援サービスって、どんなサービス?
- 保育士転職サイトの仕組みが知りたい!
- 保育士転職サイトは、ほんとうに無料で使えるの?
- キャリアアドバイザーって、何をしてくれるの?
- 保育士転職サイトの非公開求人について、教えて!
はじめて保育士転職サイトを使う時は、知りたいこと、気になることがたくさん出てきます。
この記事を読めば、保育士転職サイトは無料で使えるのか、非公開求人とはどんな求人か、といった疑問の解消とともに、保育士転職サイトが提供する転職支援サービスの内容が網羅的にわかり、ご自身が利用すべきサービスか判断がしやすくなるはずです。
目次
- 【仕組み・その1】保育士転職サイトが提供する、転職支援サービスとは?
- 【仕組み・その2】保育士転職サイトがあつかう、非公開求人をはじめとする求人の特徴とは?
- 【仕組み・その3】保育士転職サイトの利用方法、利用の流れは?
- 【仕組み・その4】保育士転職サイトの担当者の役割とは?
- 【仕組み・その5】保育士転職サイトを利用するメリットは?
- 【仕組み・その6】保育士転職サイトを利用するデメリットとは?
- 【仕組み・その7】保育士転職サイトの料金・利用料は、ほんとうに無料?
- 【仕組み・その8】保育士転職サイトを使って転職すると、祝い金がもらえる?
- あとがき:保育士転職サイトの仕組み【転職支援、非公開求人などサービスの特徴を8項目から解説】
【仕組み・その1】保育士転職サイトが提供する、転職支援サービスとは?
保育士転職サイトは、転職したい保育士(求職者)と、保育士を採用したい保育施設(求人者)との間を取りもち、転職を支援するサービスです。
このサービスを運営する企業を職業紹介事業者と言い、厚生労働大臣から許可を受けて職業紹介事業を運営しています(参考:厚生労働省「労働者派遣事業・職業紹介事業等」)。
- 保育士に対する保育士転職サイトのサービス
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- 保育士転職サイトは、保育士(求職者)の求職の申し込みを受け付けます。
- 求職者の経験やスキル、希望にマッチする求人を、求職者に紹介します。
- 求職者が転職したいと思うような求人が見つかれば、面接を設定します。
- 保育施設に対する保育士転職サイトのサービス
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- 保育士転職サイトは、保育施設(求人者)の求人の申し込みを受け付けます。
- 求人の仕事内容、人材要件にマッチする求職者に求人を紹介して、求人に応募する求職者を求人者に紹介します。
- 求人者が採用したいと思うような求職者が見つかれば、面接を設定します。
保育士転職サイトはこのような転職支援サービスによって、保育士と保育施設との間により良い雇用関係がうまれることを目指します。
【仕組み・その2】保育士転職サイトがあつかう、非公開求人をはじめとする求人の特徴とは?
保育士転職サイトがあつかう求人は、保育士・幼稚園教諭の方が対象になり、さまざまな転職先や働き方の求人をあつかっています。
- 求人の職種・資格
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- 保育士
- 幼稚園教諭
- 求人の施設形態
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- 保育所
- 院内保育
- 企業内保育(事業所内保育)
- 幼稚園
- 認定こども園
- 学童施設
- 求人の雇用形態
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- 正社員(正職員)
- 契約社員
- パート(アルバイト)
- 派遣
- 紹介予定派遣
このような転職先や働き方とともに、勤務地のエリア、残業を含む勤務時間、休日といった希望条件を保育士転職サイトに伝えると、希望にあう求人を紹介してもらえます。
なお、保育士転職サイトがあつかう求人と、ハローワークや福祉人材センター・バンクがあつかう求人、保育園の中途採用ページ、求人広告に掲載されている求人には大きな違いがあります。
それは、保育士転職サイトがあつかう求人には、非公開求人があるという点です。
- 非公開求人
- 非公開求人は、保育施設が公に募集していない求人で、保育士転職サイトに登録することで紹介してもらえる求人です。
当然ながら非公開求人の情報は、保育士転職サイトに登録しなければ入手できません。
求人を非公開にする理由や背景には、次のようなものがあります。
- 非公開求人の理由、背景
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- 退職・休職による欠員補充や保育士の配置基準を満たすため、急いで経験・スキルがある保育士を採用したい
- 中途採用業務を保育士転職サイトに一任し、保育園の採用業務の効率化・省力化をはかりたい
- 園長や主任保育士などの管理職の中途採用活動を、保育園の内外に漏れないよう水面下で進めたい
保育士転職サイト、ハローワーク、福祉人材センター・バンク、それぞれの特徴について詳しくは、次の記事をご覧ください。
【仕組み・その3】保育士転職サイトの利用方法、利用の流れは?
保育士転職サイトを利用するには、登録が必要です。
求職者が保育士転職サイトに登録すると、保育士転職の専門家であるキャリアアドバイザー(求職者の担当者)と、対面形式あるいは電話で面談します。
キャリアアドバイザーとは、求職者の転職支援を担当する保育士転職サイトの社員で、コンサルタントやコーディネーターと呼ぶ保育士転職サイトもあります。
キャリアアドバイザーは、求職者の経歴やスキル、希望条件を、電話や対面の面談で確認し、求職者にフィットする求人を紹介します。求人応募の際には、履歴書など応募書類提出の手続きを代行し、保育施設に対して求職者の長所や強みとともに推薦します。
書類選考後は、面接の日程調整や面接対策、面接同行などで求職者の転職活動を支援。その他にも各種相談やアドバイス、情報提供によって、求職者をサポートします。
なお、似たような名称にキャリアコンサルタントがありますが、こちらはキャリアコンサルティングの国家資格を持つ専門家を指します。保育士転職サイトのキャリアアドバイザーの中には、キャリアコンサルタント資格を保有する方もいます(参考:厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」)。
面談後、求職者の経験・スキルや希望を把握したキャリアアドバイザーから、求人の紹介や転職活動のサポートが受けられるようになります。
求人を紹介されたら、興味がない求人は断り、希望がかなう求人があれば応募し、面接&職場見学、内定、入職(転職)とすすみます。
保育士転職サイトを使って転職活動を進める場合の、保育士転職の流れをまとめると次のようになります。
- 保育士転職サイトの選択
- 保育士転職サイトの登録
- 保育士転職サイトの面談
- 保育士転職サイトから紹介された求人に応募
- 応募した保育施設と面接
- 応募した保育施設に内定
- 応募した保育施設に入職(転職)
上記を例に、先ず転職活動を始めてから内定までに必要な期間についてお話しすると、保育施設への転職では「6.応募した保育施設に内定」までに、少なくとも半月程度の期間が必要になると考えておきましょう。すんなり内定が出た場合の例なので、もう少し時間がかかるケースも出てきます。
転職(入職)までに必要な期間は、組織によって、人によって違い出てくるところです。この点にご留意ください。
円満退職を前提とする場合、内定が出た後、勤務先に退職の意思を伝えてから「7.応募した保育施設に転職(入職)」までに、1ヶ月程度の期間を設けるのが常識的なところだと思います。よって、保育士の転職活動期間は次のように認識してください。
- 保育士の転職活動期間
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保育士の転職は少なく見積もっても、転職活動をはじめてから実際に転職するまでに、1ヶ月半程度の期間は必要です。
保育士転職サイトを使う保育士転職の流れと手順、具体的な登録方法について詳しくは、次の記事をご覧ください。
【仕組み・その4】保育士転職サイトの担当者の役割とは?
大手の保育士転職サイトでは、求職中の保育士を担当するキャリアアドバイザーと、保育施設の採用活動を支援する営業担当者に分かれています。
保育士転職サイトの中にいるそれぞれの社員の仕事をご紹介すると、次の通りです。
- 保育士転職サイトのキャリアアドバイザー
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- 求職者の経験・スキルや希望の確認
- 求職者の転職、キャリアに関する相談
- 求職者への転職に関する情報提供、保育施設の求人紹介
- 求職者の応募書類や面接、退職に関する助言
- 求職者の面接日、入社日(入職日)、待遇面の要望確認
- 保育士転職サイトの営業担当者
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- 保育施設への定期訪問、情報収集
- 保育施設の新規取引先開拓
- 保育施設の求人票作成
- 保育施設への人材紹介、応募手続き
- 保育施設との面接日、入社日(入職日)、待遇面の調整・交渉
求職者が接することになるのは、キャリアアドバイザーです。 なお、小規模の保育士転職サイトの担当者は、両方の仕事を担当しているケースもあります。
【仕組み・その5】保育士転職サイトを利用するメリットは?
保育士転職サイトのキャリアアドバイザーは、求職者の経歴やスキル、希望条件を把握した上で、公開求人のみならず非公開求人も含めた数多くの求人の中から、求職者にフィットする求人を探しだし紹介してくれます。
キャリアアドバイザーはその他にも、転職先の内情など独自情報の提供や各種アドバイス、面接対策、交渉代行などで利用者の転職活動を支援します。
保育士転職サイトを利用するメリットを整理すると、次の通りです。
- 希望がかなう求人を探し出し、紹介してくれる
- 自己PRや志望動機、応募書類作成についてアドバイスしてくれる
- 求人の背景や職場環境など、表に出てこない独自情報を提供してくれる
- 面接傾向の助言、模擬面接の実施、面接当日の同行などの面接対策をしてくれる
- 給料・年収などの待遇交渉や、面接などの日程調整を代行してくれる
- 転職の悩みやキャリアの相談に乗ってくれる
*注:面接の同行は、地域や時期によっては対応できない場合があります。
保育士転職サイトを利用する転職活動と、利用しない転職活動の大きな違いは、このようなキャリアアドバイザーによる継続的なサポートの有無にあります。
ハローワークや福祉人材センター・バンクでは都度保育士求人を紹介してもらえますが、継続的なサポートはありません。
転職サイトのキャリアアドバイザーによるこのようなサポートが転職活動の効率化・省力化を実現し、限られた時間の有効活用から転職成功へとつながります。転職マネージャーが転職サイトの利用をおすすめする理由はここにあります。
仕事が忙しく転職活動に時間を割けない方や転職に不安がある方は特に、転職活動を丁寧にサポートしてくれる転職サイトを利用する価値があるでしょう。
また、給与や勤務時間などの待遇面の不服から転職を決意した方、園長や主任保育士との人間関係、職場の雰囲気などの環境面に不満があって転職を決意した方にとっては、転職サイトによる交渉代行や転職先の具体的な情報提供といったサポートが、転職のミスマッチを減らし、同じ轍を踏まないために役立つものなので、転職サイトの利用は選択肢から外さないようにしてください。
【仕組み・その6】保育士転職サイトを利用するデメリットとは?
メリットをご紹介したので、デメリットや注意点についてもお伝えします。
保育士転職サイトを運営する人材紹介会社はサービス業ですから、提供する人によってサービスレベルに多少の差が出ることはあり得ます。
転職マネージャーが人材紹介会社を利用した際の経験では、こちらが何度かメールを送っても、一切返信をよこさない担当者にあたってしまったことがあります。大切な個人情報を預けた後でいい加減な仕事をされると、とても嫌な気持ちになるものです。
私の経験も含めて、具体的な注意点としては、次のようなものがあります。
- 注意すべき保育士転職サイト
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- 利用者の質問やメールに対する、回答や返信などのレスポンスが遅い
- 利用者に求人を紹介する際、求人内容を把握していない言動が見受けられる
- 利用者の経歴や希望条件、転職理由を理解せずに、的外れな求人を紹介してくる
- 利用者が興味がないと伝えた求人を、何度もすすめてくる
万が一、このような人材紹介会社の社員と遭遇したら、相手にせず距離を置きましょう。
人材紹介会社の事業は、利用者が転職することで成功報酬が入る仕組みになっています。
滅多にないことですが、自分の成果に結びつけるため・効率化のために、なりふり構わず行動する社員・不誠実な対応をする社員が、中にはいるのです。このような保育士転職サイトの意見や助言を真に受けて転職活動を進めても、良い結果は得られません。
最悪の場合、転職に失敗し、後悔することになります。
- 転職の失敗例
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- 転職前よりも労働条件が悪くなってしまった
- 希望がかなわない、理想とは程遠い転職先だった
- 悩みや不安、不満など転職に思い至った問題が解決できない転職になってしまった
このようなリスク予防策として、社員教育・育成に注力しサービスや能力の標準化につとめる、コンプライアンス(法令遵守)意識が高い人材紹介会社を利用することが大切になってきます。
また、万が一問題が起こってしまった時の対策として、利用者の希望によりキャリアアドバイザーを変更できる制度を設けている人材紹介会社もあります。実際に利用することは先ずない制度ですが、このような制度があれば安心につながりますね。
コンプライアンス意識が高い保育士転職サイトについて詳しくは、次の記事をご覧ください。
【仕組み・その7】保育士転職サイトの料金・利用料は、ほんとうに無料?
転職活動をサポートしてくれる保育士転職サイトですが、利用料などの料金は掛かりません。無料で利用できます。
仕組みを簡単にご紹介します。求職者の転職が成功すると保育士転職サイトは、求職者を採用した保育施設から成功報酬をもらうことになっています。
その額は、保育士転職サイトによって多少の違いはありますが、転職した人がもらう年収の20〜30%相当です。
もちろん、求職者の年収から成功報酬が差し引かれるわけではありませんので、ご安心ください。法律上も、保育士転職サイトを運営する人材紹介会社は、職業紹介にあたって、原則として求職者から手数料や報酬を受けとれないことになっています(参考:厚生労働省「平成29年職業安定法の改正について」)。
このような仕組みによって、求職者は便利な転職支援サービスを無料で利用できるのです。
また、保育士転職サイトには、転職した人が数ヶ月といった短期間で退職してしまうと、受け取った成功報酬の何割かを、採用した保育施設に返金する返戻金の制度があります。
そのため、目指すことは求職者、保育施設、保育士転職サイトの三者が満足する転職。保育士転職サイトの社員は、求職者の経歴・希望条件と、保育士を採用したい保育施設の要望・要件がマッチする求人を探しだし、求職者にフィットする求人を紹介するよう努めます。
【仕組み・その8】保育士転職サイトを使って転職すると、祝い金がもらえる?
現在、ほとんどの保育士転職サイトでは、祝い金などの金銭は支給していません。
確かに、2020年以前は数は少ないものの、転職が成功した人に、祝い金を支給する保育士転職サイトはありました。
しかし、2021年4月1日、職業安定法に基づく指針が以下引用の通り改正され、人材紹介会社が求職者に対して、祝い金など金銭の提供を訴求して、保育士転職サイトへの登録を促す行為が禁止されました。
「お祝い金」その他これに類する名目で、求職者に社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭などを提供することで求職の申し込みの勧奨を行ってはいけません。
この背景には、次のような行為が問題視されたことがあります。
- 祝い金を受け取ることを目的に、求職者が何度も転職を繰り返す行為
- 人材紹介会社が祝い金の提供を訴求して、何度も転職をすすめる行為
そのため、今やほとんどの保育士転職サイトでは、祝い金などの金銭は支給していないのです。
現在、祝い金を支給する保育士転職サイトがあるとすれば、残念ながらコンプライアンス(法令遵守)意識が低いと言えます。
保育士転職サイトには大切な個人情報を預けることになるのですから、コンプライアンス意識が低い人材紹介会社が運営する保育士転職サイトは、使わない方がいいでしょう。
あとがき:保育士転職サイトの仕組み【転職支援、非公開求人などサービスの特徴を8項目から解説】
この記事では、次の8つのポイントから、保育士転職サイトの仕組みを解説しました。
- 保育士転職サイトが提供する、転職支援サービスとは?
- 保育士転職サイトがあつかう、非公開求人をはじめとする求人の特徴とは?
- 保育士転職サイトの利用方法、利用の流れは?
- 保育士転職サイトの担当者の役割とは?
- 保育士転職サイトを利用するメリットは?
- 保育士転職サイトを利用するデメリットとは?
- 保育士転職サイトの料金・利用料は、ほんとうに無料?
- 保育士転職サイトをサイトを使って転職すると、祝い金がもらえる?
記事を読んだら、保育士転職サイトがご自身に向いているサービスか整理して、保育士転職サイトの利用を判断してみてください。
最後にこの記事と同じ、保育士の転職ノウハウ・知識に関する記事をご紹介します。
転職活動の成功をお祈りいたします!